運転免許と認知症(改正道路交通法3月12日施行)
今年(2017年:平成29年)3月12日に改正された道路交通法が施行されます。
この改正は大きく2つありますが、このブログは2つ目の高齢者、とりわけ75歳以上の方に関する新たな制度について触れておこうと思います。
目次
「認知機能検査」の実施
この改正のポイントとして、75歳以上の免許更新において「認知機能検査」を受けることが義務化されるのですが、これは、交通違反行為をした際下記の18の項目に該当する場合(A)と免許更新の場合(B)とが有ります。
対象となる年齢は、免許の満了日(有効期間)が75歳以上に該当する方がその対象となります。
免許証イメージ
A 交通違反(18項)後の「臨時認知機能検査」について
下記18の項に該当(違反)した場合、「臨時認知機能検査」を受けることになり、免許更新時に1分類(認知症の恐れあり)に該当していなくても実施する事になります。さらに、違反後に受けるこの検査で2分類(認知機能の低下の恐れ)と判断された場合、「臨時高齢者講習」を受けることになります(図参照)。
尚、この「臨時認知機能検査」及び「臨時高齢者講習」を受けなかった場合、免許の取消や停止処分を受けることになりますので重い実施事項となっています。
日頃から高齢者の方にはご負担が多くなりますが、良く言えば安全を自ら作って行きましょうとも言えます。
◆運転中の違反対象18項目とは
・信号無視(点滅信号含む)
・通行禁止違反(一方通行逆走含む)
・通行区分違反(逆走等)
・徐行場所違反(徐行すべき場所で徐行しない)
・指定場所一時不停止(止まれの標識での停止しない)
・踏切での違反(踏切前の一時停止違反、遮断機踏切進入)
◆進路変更時の違反
・指定横断禁止違反(横断、転回禁止場所での行為)
・進路変更禁止違反(黄線を越えての通行、追抜き)
◆交差点周辺での違反
・交差点右左折方法違反(交差点通過時に徐行せず右左折)
・指定通行区分違反(右折禁止の直進レーンからの右折)
・環状交差点安全進行義務違反(徐行せず通行)
・優先道路通行車妨害(交差する優先側道路の車の通行を妨害)
・交差点優先車妨害(対向車の通行を妨害し右折するなど)
・環状交差点通行車妨害
・横断歩行者等妨害(横断歩道で歩行者前での一時停止)
・横断歩道がない交差点での歩行者横断の妨害など
・合図不履行(右折、左折の際にウインカー・合図を出さない)
◆その他
・安全運転義務違反(わき見、操作ミス等)
B 免許更新時の「認知機能検査」
運転免許更新時に75歳以上になられる方には、運転免許更新期限の6か月前に自宅宛に公安委員会から通知が送付されます。免許更新期限までの間に「認知機能検査」を受けることが出来ます。この検査は75歳以上の対象者は認知症の有無は関係なく全員に課せられる義務となります。
検査を受けますとご自身の状態を3つに分類されます。
分類と言いますか自身の客観情報と捉えて頂く方が良いと思います。これは誰しも嫌ですが、ここは長年酷使して来られたご自身を冷静にかつ対話してみてください。
1分類 認知症の恐れ
2分類 認知機能低下の恐れ
3分類 問題無し
※前述A(交通違反)の分類と同様(図参照)
「認知機能検査」は平たく言えば行政が行う簡易検査という位置付けになります。その後に認知かどうかというのは医師の判断に委ねられます。この順番と意味を覚えておいてください。
1分類(認知の恐れ)に該当しますと医師の診断を受ける必要となります。診断後、認知症と判断されドクターストップとなれば、免許証を返納(取消や停止)することになります。医師の判断で免許更新「可」になった場合、2分類と同様の措置がとられ講習後に免許更新が可能となります。
2分類(認知機能低下の恐れ)と「認知機能検査」で判定された場合、高度高齢者講習(3時間)の講習を受けることになります。
3分類(問題なし)と判定された方は、今まで通り講習(2時間)を受け免許の更新となります。
70歳以上75歳未満の方の免許更新に関して
数か月前ぐらいから、母が右往左往しつつ「最近運転していないから私に運転させろ」と言い始めたので、どうしたのかなと思いきや御年70になりそうな模様で何やら教習所で実車試験があるらしく、そのプレッシャーで言い始めたようでした。このように70歳になると運転免許の更新時にプラスの要素が加わります。
この点について下記の表に纏めましたのでご覧ください。各都道府県警によって、高齢者講習と同等の講習が有るようなのでお住まいの地域でどんなメニューが有るのかお調べ頂くと良いと思います。各県警のホームページを見ていきますと掲載されていると思いますのでご覧ください。
免許更新時に掛かる費用と受講項目
上記の表が見え難い場合右リンクよりダウンロードが可能です高齢者免許更新等まとめ.pdf - Google ドライブ
※各都道府県警察でメニューや価格が若干違いますので詳しくは各都道府県警のホームページ等をご覧ください。
免許の自主返納という選択
自主返納という制度があるのはご存知でしょうか?
この制度は年齢に制限がございません。もう車を運転しない、車の運転はもうよい等、返納される理由は様々です。
返納するという事で、運転出来ないという事以外に不利益はございません。ご自身の一つのライセンスを手放す事で社会との繋がりが無くなる訳でもございません。
余談ですが、私の父は、行方不明になり、その最中に75歳の誕生日を迎えました。つまり免許の更新ではなく返納という形でもなく「期限切れを迎える」という方法になりました。
これは、所轄の警察署へ私が出向き、方法を確認した結果でございます。父の免許証とはいえ寂しかったですよ。ですので気持ちはよく分かります。
交付の期間・手数料
免許証を返納してから5年以内であれば、運転経歴証明書は発行してもらえるようです。下記の様なカード状のものになります。
運転経歴証明書カードの交付には1,000円の手数料がかかります。
運転経歴証明書カードの見本
特典
その他、特典が各都道府県単位(県公安委員会)で用意されているようです。
主に、タクシーの料金の割引、旅館やホテルの割引、入浴料の割引、公共交通の割引、スーパーでの買い物の割引など多くの企業が参加されています。お住まいの都道府県警のホームページを覗いてみては如何でしょうか。
来月3月12日に施行されるということで急ぎ気味でお知らせ致しました。
警視庁さんのホームページに掲載されているメニューと地方のメニューと違いがあったり各都道府県で講習メニューが工夫されていたりと意外ですがご尽力されているようです。
それだけ高齢者のことを考えての事だと思いますので少し興味を持って前向きに捉えて見ては。
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